ウェイトコントロールの誤解とちょっとしたコツ

森 俊憲 ボディクエスト 代表/ボディデザイナー

ウェイトコントロールには食事制限が必須、筋トレは体が重くなる。そんな思い込み、実は誤解だった?!あらゆる人たちのボディメイクに携わってきた経験から、ボディクエスト代表の森さんがウェイトコントロールで誤解されやすい点を指摘。正しい知識を教えてくれました。

ウェイトコントロールにはいろいろな誤解があります。

――ウェイトコントロールについて、いくつか一般的な悩みについて教えてください。
1つめは以前と同じように食事をしているけれど太りやすくなったという
悩みについてです。

 「昔と同じものを同じぐらい食べているけれど太りやすくなった」「以前は太ってもすぐに元に戻せたけれど、最近は難しくなった」というものですね。
年齢を重ねると基礎代謝が減っていきますが、体重は口から取り込むエネルギーと、自分で燃やせるエネルギーの引き算で決まります。とてもシンプルな計算なので、取り込むエネルギーを減らすか、燃やせるエネルギーを増やすかということになります。
筋トレは筋肉を増やす運動です。筋肉は燃やす力がとても強く、筋肉量が増えるととても良く燃える、燃費の悪い身体になります。自分の身体の出力をどんどんあげ、パフォーマンスを高めたグレードアップした身体を作る、これがすなわち燃費の悪い身体=基礎代謝の高い身体にしていくことです。
ウェイトコントロールをするために基礎代謝をあげる意味はここにあるのです。

森 俊憲 ボディクエスト 代表/ボディデザイナー

――食事を制限するのはだめなのでしょうか。制限して痩せたけど、
すぐまた太るという悩みもよく聞きます。

 いわゆるリバウンドも基礎代謝で説明できます。
食事の量を減らす=エネルギーの摂取量を減らすということなのですが、人は摂取エネルギーが減ると動く元気が出なくなるので、活動量が減る→筋肉を使わないので筋肉量が減る→基礎代謝が低くなるという悪循環になっていきます。
そして食事の量を減らすのはたいへんつらいことなので、いつか我慢できなくなって以前と同じぐらい食べるようになってしまいます。
そうすると以前より基礎代謝が低くなってしまったところに、摂取するエネルギーが増えることになるので、元通り、あるいはそれ以上に太る。これがリバウンドと基礎代謝の関係です。
ですから大切なのは太りにくい身体を作ること=基礎代謝の高い身体を作ること。これには時間をかけて取り組むことが必要なのです。

森 俊憲 ボディクエスト 代表/ボディデザイナー

リバウンドのメカニズム

リバウンドのメカニズム

――女性は筋トレをすることでムキムキになることを嫌う、
筋肉がついて身体が重くなることを気にするということがあります。

 これも誤解の1つですね。女性は特定部位の筋肉成長を促すホルモンの受容体が少ないため、男性と同じトレーニングを行っても同じようにムキムキになることはありません。筋トレを行っても筋肉はつくべきところにつき、絞るべきところが引き締まるメリハリの効いた体型になります。
同じように、筋肉がついて身体が重く感じるようになるのはイヤだということも誤解です。筋肉がつけば大きなエンジンを積んだ自動車のようにパワーが出ますから、すいすいと階段が上れますし、日常の動きもてきぱきとし、身体は軽く感じるでしょう。そして、健康でメリハリのある体型に近づくことで、身体全体は加齢を感じさせないシェイプになっていきます。
陸上競技の選手の身体をみるとスリムですが、とても強い筋肉を持ち、強いバネがついた形になっていて、とてもフットワークが軽いですよね。

森 俊憲 ボディクエスト 代表/ボディデザイナー

――筋肉痛になるのがイヤだという人もいます。また、
筋肉痛になるほどやらないと効果がないと思っている人もいるようです。

 あまり運動をしてこなかった方がトレーニングを始めると、最初は多少の痛みを感じることがあると思います。しかし筋肉の「超回復」というメカニズムが働きますから、トレーニングを継続していくと痛むことはなくなっていきます。
私は筋肉痛になるほどの運動はする必要がなく、パンプアップ(張り)を感じる状態ぐらいが適切だと思っています。筋トレは筋肉に刺激を与えることが目的ですから、回数や負荷にこだわるのではなく自分の感覚でパンプアップを感じるぐらいまでやるというのが望ましいと思います。
もう1つは、パンプアップを少し感じている状態で次の運動をすることが大切です。まったくパンプアップを感じなくなるまで休息させると、より強くなろうしている筋肉の性質を十分に活かせなくなります。例えば、しっかりとしたトレーニングは週末にやる、それ以外にも3~5割でいいので週半ばにもやる、といったことです。

森 俊憲 ボディクエスト 代表/ボディデザイナー

日常生活に溶け込ませると忙しい時にもアイデアでトレーニングできる。

――日常的に心がけることはどんなことになりますか。

 私は常々トレーニングをできるだけ日常生活に溶け込ませて欲しいと思っています。
できるだけトレーニングについての心理的なハードルや実践的なハードルを下げ、一般の方、忙しい日々を送るビジネスパーソンにこそ取り組んでもらいたいというのが私の想いです。最初は5分から始めて、ずっと続けていき、必要十分を満たすように少しずつ高めていくことがとても大切なのです。

3カ月で筋肉の新陳代謝、ターンオーバーがきますので、何かしらの効果やシグナルは必ず出てきます。ですから、3カ月を終えたところが最初の位置になるということをわかった上でぜひ取り組んでもらいたいのです。

3カ月を過ぎた後は筋肉がつき成果が出てくるので、義務的にやっていたトレーニングそのものが楽しみに変わります。また、仕事が忙しく本当に時間がとれない時でも、会社で姿勢に気をつける、駅では階段を使う、1つ前の駅で降りて早足で歩いて帰る、家事をするときにも筋肉を使うように意識した身体の使い方をするという発想が自然と出てきます。そして、筋肉がついているから、心地よく楽しんで実行できるようになります。

森 俊憲 ボディクエスト 代表/ボディデザイナー

――ウェイトコントロールや筋トレをする時にPULSENSE(パルセンス)が
使いやすいと思ったところを教えてください。

 実際にPULSENSE(パルセンス)を手にして思ったのは、まず自分自身のいつも通りの日常生活の活動量を簡単に知ることができるということです。これで自分にとっての基準が作れます。
そして、トレーニングをするとそれも記録してくれますから、自分のがんばりを客観的なデータとして簡単に見せてくれる、この2つが良いところだと思います。トレーニングしていれば、自分ががんばっている証が欲しくなるものですからね。
自分の日常やがんばりをはっきりと可視化してくれることの価値はとても大きいですし、それが腕時計の大きさのツールで実現できるのは素晴らしいことだと思います。

(注) ご利用時の推奨運動:ウォーキング、ランニング、トレッドミル、サイクリング(上り坂等の高強度のものを除く)
手や腕を激しく動かす、手首をスナップさせる、物を強く掴み動かす、腕を上下に動かす運動では、脈拍が取れにくい場合があります。
森 俊憲 ボディクエスト 代表/ボディデザイナー

Profile

森 俊憲(もり としのり)

ボディクエスト 代表/ボディデザイナー

大学卒業後、携帯電話の商品開発などに携わる企業に勤務しながら学生時代に培った身体を維持するために独自のトレーニングノウハウを確立する。自身の実体験に基づいて開発したメソッドをオンラインでのパーソナルトレーニングプログラムとして提供するために2007年ボディクエストを設立。これまでに1万人以上への個別カウンセリングやパーソナルトレーニング指導を行う。「ダイエットという引き算ではなく、ボディデザインという足し算」をコンセプトとする身体作りとそれをプロジェクトマネジメント化する手法は高い評価を得て、企業の人材教育などにも採用されている。『へやトレ』(主婦の友社)、『読む筋トレ』(扶桑社)など著作多数

森 俊憲 ボディクエスト 代表/ボディデザイナー
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